世間は死に、世論が残った

日本において(外国でも同じかもしれんが)「世間」は死んだ替わりに今を支配しているのは「世論」である、という言葉遊び的な論考を思いついたが、戯言に近い気がする というツイートの続き、長くなりすぎたのでこちらで 世間は「人様に顔向けできない」とい…

ブラームス交響曲第4番の解説(ショートver.)

前回と同じく、中止になった2020年3月の演奏会のための文章。こっちはパンフレットに載せる予定でした。 ヨハネス・ブラームスの最後の交響曲、第4番ホ短調作品98の作曲のきっかけについて、指揮者ジークフリート・オックスは次のような証言をしている──188…

ブラームス交響曲第4番の解説

この記事は2020年3月の演奏会でブラームスの交響曲第4番を演奏する際、楽団のWebサイトに解説を書いてほしい、と頼まれたため執筆したものです。残念ながら新型コロナウイルス感染防止のため演奏会は中止になってしまい、この記事の発表機会もなくなってし…

Twitterの続き。プーランクのピアノ協奏曲

プーランクメモ 「動機労作が弱い」と言われるのは、逆説的に一つの動機に拘ったからでは無いか 第1楽章の「意図的に似せられた」ソナタ形式、展開のかわりに並列 冒頭の♬♪の繰り返しからメロディを作るのは古典派を意識? 第1主題提示部はA→B→A→B→A’→A→B’→…

コラム 交響曲と序曲の関わり

以下の文章は「プログラムの冊子に何か読み物を入れるかもしれない」と言われたため原案として書き溜めていたものです。結局文章は入れないことになりましたが、せっかく書いた内容を放置してしまうのももったいないのでここに加筆せず掲載します。 交響曲と…

現代音楽の嗜好(アンダンテ・フェスティーボ)

N響/ネーメ・ヤルヴィでシベリウスのアンダンテ・フェスティーボ、トゥビンの交響曲第5番、ブラームスの交響曲第4番を聴きに行きます。 特に一曲目のシベリウス、この曲はすごく好きというわけではないけど、よくできた曲だと思う。 形式的には多分ABABA、「…

マックス・リヒター《メモリーハウス》感想

読んでのとおりです ぶっちゃけ批判の勢いがすごいのでこの曲好きって人はバックすべきだと思います あとからいろいろ追記したい コンマスの演奏会に行きたいのも勿論だけど今日はクリスチャン・ヤルヴィのツァラトゥストラを聴きに行きます最近流行りの作曲…

SCP-4028についての考察

ja.scp-wiki.net 今回は趣向を変えて、怪奇創作サイトSCPの記事について思ったことを書こうと思います。メタフィクションな構造を取る作品は多々ありますが、これは構成の素晴らしさ、読みやすさ、求心力が揃っていて、ぜひ自分の感想も留めておきたいな、と…

ブラームスの記号について

タイトルの通り。 私が今所属しているオーケストラ含め、ブラームスにとりくむ取り組む人が多くいると聞いたため、知ってる情報をまとめておくといいかなと思った次第。 第1回は音量記号がメインです。2回めがあるのかは未定。 1.音量設定 音量設定は重要…

リスト《調のないバガテル》は無調なのか?(中編)

前回の記事はこのような文章で終わっていました。 なぜ私たちは《調のないバガテル》に無調らしさをかんじなかったのか? それへの解答からスタートしていきたいと思います。 1.無調よりも不協和音 不協和音と呼ばれる代表的なものが、 三全音と呼ばれる音程…

リスト《調のないバガテル》は無調なのか?(前編)

まずはこの曲を聴いてください。 F.リスト作曲 "Bagatelle sans tonalité"(S.216a) 「無調のバガテル」あるいはもっと直訳的に「調のないバガテル」と呼ばれる曲ですが リストが唯一無調という言葉を使った……のみならず、西洋音楽で初めて「無調」という言葉…

リスト:ロ短調ソナタ

今この曲に嵌っていますが、改めて見るとすごい曲ですね。 この曲は、下へ音階で下降していく音型A 付点と跳躍進行が特徴の音型B 前打音と同音連打が特徴の音型C *1 この3つの音型で全てのメロディが出来ています。 全てというと少し言いすぎたかもしれない…

バーチャルユーチューバーと良いブラックスワン

Vtuberというジャンルがツイッター上で有名になったのは去年のこの時期だったと認識してますが、未だに人気は衰えないしジャンルも拡大している おそらくVtuberはブラックスワンなんだろう 悪いブラックスワンは一瞬で全てを壊すが、良いブラックスワンは時…

ポケモンへの思い入れ

私の世代だと初のポケモンルビサファになるんですけど、私は緑なんですよね 周りの子がポケモンやってるのを見て親にねだったら、9月16日に出るエメラルドを買ってくれることになった 14日の誕生日、先にGBAのSPという本体の方を買ってもらえた これは初代の…

Mozart as a Sevice(MaaS)

AdobeのWebフォントに制限が無くなったのを喜ぶあまりに作ってみたやつ 日本語はフォントワークスのマティス、英語はPaganiniです(薔薇からフォントまで幅広くカバーするパガニーニさんェ) Mozart as a Sevice, not a “Missa brevis”(K.194). He created won…

モーツァルト批判

ツイッターにも書いたけど、モーツァルトを聴いていると無条件に賞賛したくなるので、「もし私が批判的な文を書くならどうするか?」と考えて書いた文章 なんというか、純粋な思考の訓練なのであまり大した意味はないです 小林秀雄は「モオツァルト」におい…